インド旅行 初日

 こんにちは。宮崎です。七月に一週間お休みをいただき、インドに行ってきました。

もうしばらく前から、日本とかけ離れた文化の国を(発展途上国が多いです)事前に何も決めず、バックパックで旅行するのにはまっています。行くたびに、普通だと思っていた価値観や、固くなった頭が、少しづつやわらかくなります。これが、たまらなく面白いのです。

インドは昔から行きたかったのですが、何しろ大きい国なので、最低でも半年くらいは旅行したいなと思っているうちにどんどん時間が過ぎてしまっていました。

半年って、仕事をやめない限り無理です。しかも私結婚しています。なので、休みがもらえる度に、小出しで旅行して行こう、と決めました。(ちなみに中国もそうやって旅行しています)

で、今回は、とりあえずバラナシだけは行くと決めて出発。

エアインディアの直行便でデリーへ。

着いたのは現地時間の五時。まだ明るかったので、のんびり市内に出ようと、エアポートバスに乗り、パハールガンジという、タイでいうカオサンロードのような、外国人の集まる安宿街に向かいました。

ところが・・着いてみると、パハールガンジらしき道がないのです。一面、何やら工事中で、まわりはスラムのような掘っ立て小屋が立ち並び(工事現場の出稼ぎの人々?)、みんな場違いな旅行者の私を見ています。

んー。ここはどこだ。

リクシャーの運転手が、しつこく話しかけてくるので、とりあえずずんずん歩いていたら、同じ方向に歩いていたおじさんが、

「彼らは信用しちゃだめだよ」

と話しかけてきました。

パハールガンジに行きたいんだけどと話すと、なんとそのおじさん、ここがそうだ、と言うではありませんか。しかしあたりを見回しても、そこはスラム街。

おじさん曰く、地下鉄の工事で、2,3か月前に安宿街はみんなどこかに移動してしまったとのこと。(この工事、日本の出資でやってるようです)この手のウソは、いろんな国のいろんな人が使います。安宿街はクローズしているから、俺の知っているホテルに行こう、そう言って、そのホテルからお金をもらうんです。

だけど、そのおじさんはジーンズ店をやっている人で、そんな嘘をついたところで、何のメリットもないし、とても嘘ついているようにみえない。

じゃあ、他に安宿を知らない?と聞くと、わからないから、とりあえず旅行会社に行った方がいいとの事。リクシャーをつかまえて値段交渉をしてくれました。

しかし、向かった旅行会社では、安宿は無い、の一点張り。そりゃ、あっても教えませんよね、何の得にもならないし。私ばかだったー、と、とりあえず外に出ましたが、もうけっこう暗くなっています。

「もう暗いし、これから安宿を自分で探すのは危険だ」と言うリクシャーワーラー。もっともだ、と思い、彼の知っているホテルに向かいました。

値段を聞くと、100ドル、とのこと。思わず大声で「無理!」と言っていました。安宿だったら、千円くらい出せば普通に奇麗な部屋に泊まれるから、そんなにお金を持ってきていない!

交渉して、40ドルくらいになりましたが、納得いかない・・でももう暗いし、仕方ない。

リクシャーワーラーが、家でごはんをごちそうするよ、と言ってきました。

「私は女性一人だし結婚しているので、男の人の家には行かない」

「家族がいるから大丈夫」

一人でごはんはつまらないし、確かにインド人の家には行ってみたい。極悪人にもみえないし(本当の悪い事考えてる人って、言動が上滑りで大体わかる。気がします。ちなみにお金をぼったり騙したりするくらいは、私の中で悪い人ではありません)軽はずみだとは思いましたが、危険と思えば逃げればいいや、と、向かう事にしました。

地震がきたら間違いなく崩れる簡素な家ですが、ブルーに塗られ、インテリアもとても素敵。若い奥さんと小さな子供が笑顔で迎えてくれました。

ああ、疑ってごめんなさい。

そこでカレーとお酒をごちそうになりました。美味しいし、子供はかわいいし、幸せ。

と思っていたら、彼の友達もやってきて、二人で私に、アグラーとジャイプル行きのチケットを買った方がいい、と、それはそれは熱心に勧めてきます。一週間もあれば、バラナシも、アーグラーも、ジャイプルもまわれるから、と。

ああ、やっぱりそうよね・・脱力しました。

それでさっきの旅行会社に私を連れていって、お金もらうのよね。

それ自体は、お金を稼ぐ手段として全然いいんだけど・・私自分でチケット取れるし。

お金がない、というと、ここに泊まってもいい、とのこと(魅力的!)。

最初にいろいろ決めてしまう旅行スタイルが好きではない、と言うと、今チケットを取らないと、混んでるから難しい、との事。

あなたの為なんだよ、との事。

ごはんをごちそうになりつつ、仕事がハードで生活は苦しいという話を聞きつつ、赤ちゃんと奥さんは私の隣に座りつつ・・

断ることが、とんでもない悪いことのような気がしてきました。

日本人が大好きで、大切にしている、「義理と人情」、そして断り下手で雰囲気を悪くするのが嫌な性質、が利用されている気がしました・・。

インド人相手に最後まで、笑顔で断り続けるのは、本当に大変でしたが、忙しい旅行は嫌だし、自分がその時どこに行きたくなるか、何をしたくなるか、は、その時にならないとわからないし、こればっかりは仕方ありません。

ホテルまで送ってもらい、私もチップでも払えば良かったのでしょうが、私が頼んだリクシャー代だけ払いました。だって、ご厚意だったし・・。彼にしてみたら、ごちそうしただけ損した、と思ったのでしょう。とても浮かない顔をしていました。

翌日、ホテルから、更に税金分を払え、と言われました。払えとは言っていますが、あんまり熱心ではないので、多分昨日のリクシャーワーラーに頼まれたのでしょう。インド人には珍しく、1分くらい断り続けただけで折れてくれました。

バラナシまでは飛行機で向かいます。時間があったのであたりを散歩していると、りすがいたるところにいました。なぜこんな町中に・・。見ていると、おじいさん
が何見てるの?と話しかけてきました。

一緒にチャイを飲みながら、なぜか家族を紹介すると言われ、そのおじいさんの家に向かいます。奥さんと娘さんと、大きな犬。あと、ヒンドウ教の小さな祭壇。とても、おだやかに幸せに暮らしているのだろう、と思いました。

おじいさんは「今度はうちに泊まりなさい」と言ってくれました。たぶん明日になったら忘れてるのでしょうが、たとえ忘れてても、この人なら泊めてくれるんだろうなあ、と思いました。なんだか、日本ではちょっといない感じの、雄大な印象の方でした。

このあといろんな人に会いましたが、インドにはこういう雄大な感じのおじさんおばさん、おじいさんおばあさんがたくさんいました。小さな事を気にしないし、繕わないし、ちょっとしたハプニングにはびくともしないけど、大きな愛を持っている。

しわが出来てもしみが出来てもいいから、こういう風に年をとりたい、と思いました。

バラナシに向かいます