青森・秋田の両側から白神山地 3日目

3日目の朝は、他に客がなくぐっすり眠れたこともあり朝日を浴びてスッキリと目覚めました。
本日は午前中に2か所周りたかったので早めに出発できるようにと、朝食は7時からお願いしていました。

土佐旅館の朝食

8時過ぎに民宿を後にし、秋田側から白神山地に向かいました。
白神山地の指定区域ではなくその雰囲気が味わえるという「岳岱自然観察教育林」に車で向かったのですが、途中から細い1本の山道となって、見晴らしの良い橋を渡ったり、ドライブだけでも冒険している気分になれます。

橋の上からの渓流写真

山道を進むこと約45分、一つ目の目的地である岳岱自然観察教育林に到着しました。
きちんと駐車場にトイレも併設されていてほっとしましたが、トイレに入るとカメムシがうようよといて落ち着いて用が足せません。
青森も秋田もですけれど、民宿にはカメムシホイホイみたいなものがあって、とにかくカメムシが一杯いて恐怖でした。

岳岱自然観察教育林入り口

自然観察林に入るとウッドチップを敷いた本当に踏み心地のよいふかふかな道が途中まであり、その道は車椅子でも移動が可能なようです。
ふかふかを楽しみながら歩いていくと立派なブナの木をいくつも見ることができました。
白神山地の自然遺産区域に入ればこの手のサイズがきっとたくさんあるんでしょう。

ブナの森

ウッドチップの道が終わって、もっと奥に進んでいくと樹齢400年のブナの木が現れました。
ただし、木自体は数年前に倒れてしまったようで、現在は倒木の上から若いブナの木が生えている様子を観察することができます。

樹齢400年のブナの木

さらに進むとモリアオガエルの産卵場所がありました。
池に何かの卵らしきものがたくさんあったことに気を取られてしまって、池の上の木々にあったであろう泡状のモリアオガエルの卵を見忘れてしまい、かなり心残りとなるミスをしました。
池の中にあった卵はおそらくクロサンショウウオの卵でサイズはアケビくらいありまして、その横の卵はヤマアカガエルのものではないでしょうか、とにかくたくさんありました。
私が子供のころは江戸川の河川敷にもアマガエルの卵を見つけることができたのですが、現在は全くいなくなってしまいましたので、カエル好きとしては、カエルが住める環境を今後も保全してほしいなあと思いました。

クロサンショウウオとアカガエルの卵と思われる。

ふと下を見ると、なにやらこんもりとした塊があります、事前にネットでみた熊のフンのようです。
熊のフンを見たら道を引き返した方がいいと忠告がありましたが、せっかくここまで来たし人もちらほらいるから大丈夫かなぁとそのまま散策を続けてしまいました。
今年は5月19日からここまでの山道の通行が可能になったので、まだ人がそんなに山に入っていないから熊が近くにいたのかもしれません。
今回は熊には遭遇しなかったからよかったですが、安全のためには引き返すのが正解でしたね。

さらに先に進むと大きな岩がゴロゴロ転がっていて、その岩の上からブナが生長していたり、自然の力強さを感じられる景色が広がっていました。

岩の上にブナの木

ぐるりと1時間ほどかけて岳岱自然観察教育林を回って、次はその先にある田苗代湿原に向かいました。
車で15分程進んで駒ヶ岳の黒石登山口の駐車場に車を停めてから、さらに山道を15分程あるくと湿原に着くのですが、もう5月下旬だというのに途中にはまだ雪の塊が残っていました。

5月下旬でも雪が残っていました。

田苗代湿原は3か所に分かれていてすべての道に木道が整備されていて歩きやすかったのですが、湿原が干からびてしまっていて水芭蕉がちらほらあるだけでした。
時期であればたくさんの高山植物が湿原を埋める様子が観察できたのでしょうが、ちょっと訪れるのが早すぎました。

田苗代湿原

湿原を散策中に、私はネズミらしき小動物が足元を通ったのを見ましたが、ツレはブーブーという鳴き声とガサガサという草がこすれる音が近くの茂みがらして熊がいるんではないかとおびえていましたので、早めに散策を打ち切って駐車場に戻りました。
今回は熊除け鈴を買って白神山地に入ったのですが、リンリンとならしているのはツレと湿原で出会ったおじいさんが一人だけで、他に会ったどの人も熊除け鈴を持っていませんでした。
まぁ今年は熊の目撃が多いですし、用心するに越したことはないですけどね。

11時30分頃に田苗代湿原を後にし、もと来た山道を下って後は大館能代空港に行くだけの予定でしたが、山道を歩いて結構汗をかいたので、最後にひとっ風呂浴びたくなり藤里町の「湯元和みの湯」に立ち寄ることにしました。
こちらの温泉は今回の旅で一番良かったです、なぜってメタケイ酸を豊富に含んだヌルヌル感のあるぬる湯だったから。
露天はもはや水といえるぬるさでしたが、滝が見えて眺めがよかったし、だれも入っていなかったので解放感がありリラックスできました。

湯元和みの湯の露天風呂

湯元和みの湯から徒歩で2分くらいのところにこれまた立派な滝がありました。
「銚子の滝」と名のついた滝はドーム状の岩壁から勢いよく水が流れ落ちていて、不思議な雰囲気がありました。

銚子の滝

滝から車に戻ったら、もう時間に余裕はありませんので、急いで大館能代空港に向かいました。
ふと自分の太ももに目を向けると、1匹の尺取虫がうねうねしているではありませんか。
どうやら私は滝で尺取虫を服に着けて車に戻ったようで、とっさに尺取虫をレンタカーのファイルに乗せるとファイルごと尺取虫を外に捨ててしまいました。
運よくファイルは草に引っかかって道路に並走していた農業用水路に落ちなかったですし、後続車もなかったので大事には至りませんでしたが、走行中の車から物を捨てるのは絶対やっちゃだめだなと後で猛省。

プチトラブルはありましたが13時50分に空港に到着しました。
お昼ご飯を食べていませんでしたので、14時ラストオーダーの空港内レストランで「きりたんぽラーメン」なるがっつり観光客向けのメニューをオーダーし、ラーメンにきりたんぽって微妙・・・と思いながら完食できずに搭乗時間を迎えました。

大館能代空港レストランにあるきりたんぽラーメン

予定より30分くらい遅れて飛行機は離陸し、無事に羽田空港に戻ってきました。
今回は青森と秋田の二県に滞在して現地グルメをたくさん食べましたし、ブナの新芽が美しい時期に白神山地を楽しめたので、やりたいことがほとんどできた満足度の高い旅になりました。